えんとろぴぃ

落語、読書、映画

図書館とモツ煮込

図書館は本当に便利になりました。

と、言ってみるものの、便利じゃない時期にそれほど利用していませんでしたので、どのくらい便利になったかという比較はできないのですが。

図書館へ行くようになったのは落語を聞き始めたことがきっかけだったと思います。まず名人の全集ものをちょこちょこ順番に借りていましたが、ネットで予約ができるようになっていて、これがほんとうにいい、考えてみれば昨今ではあたりまえのことのように思うかもしれませんが、意外とまだまだ使っている人は少ないように思います。よく図書館に行くという話を人にすると、まずこのネットで予約できることに驚く人も少なくありません。

もうひとついいことがあります。これには私も驚いたのですが、住んでいる区でなくても利用者登録ができることです。なんとなく自分の住む区の利用に限られるものだと思っていたのですが、今や私は三つの区のカードを使い分けています。

それぞれの区によって、区民性のようなものが反映されている気がして、どんどん面白くなってきました。落語に強い区、蔵書数が多い区、マニアック度、新刊に対しての予約者数の違い、開館時間の時間帯まで、それぞれの区に特色があります。文京区は特に落語の揃いがいいように思います。本も蔵書自体が多いのか、他になくても文京区にはある、ということがよくあります。東大なんかがあるからかなあ。

ところが私は文京区の図書館が一番行くのに時間がかかります、CD 一枚のために電車を乗り継ぐわけです、二十枚入りの BOX なんてえのはめったにありませんから、だいたいが新しく出たものの予約の順がまわってきて取りにいくといった寸法です。そうなるとついでの用がほしくなります、とうとう行きつけの飲み屋をつくることになったのですが、そこがあまりに美味しいところで、そこへ飲みに行く口実として図書館へ、なんてえことになってきました。

その店はもつ焼きが絶品なのですが、もちろん煮込みもあって毎回食べています。

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モツ煮込

早い時間に行けたからなのか柔らかくて大きな肉塊が入っています。ここへ顔をうずめて、バラバラになったいろんな食感の部位を夢中でつまみます。これほど幸せな時間といったらないです。

 

この“顔をうずめる”ということをしたくなるのが、どうもこの本の影響下にあるようで、前半に出てくる煮込みを食べるところを読んでの衝撃が頭から離れず、たびたび“顔をうずめに”でかけてしまうのです。その衝撃のおかげでそこから先へ読み進めることもままならなくなって、机の上へ置いたままになり、カバーが目に入るたびに脳内へ煮込みの湯気とキラキラした器官や肺などのかけらがいっぱいに映し出されて、ついぞ本を開くことのないまま時間は過ぎてゆきます。

 

新しい天体 (光文社文庫)

新しい天体 (光文社文庫)